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2017年3月

2017年3月28日 (火)

エッセイ 「会おうか会うまいか」

私の通う文章教室は、実に多彩なメンバーで現役の劇団女優から、元SLの機関士もいます。
その中で私大の女性教授が、大学から派遣されてイギリスのケンブリッジ大学に、1年間留学することになりました。
先週土曜日(3月25日)の教室後、池袋のいつもの居酒屋で、有志がささやかな壮行会をしました。
この教室で発表した作品で、ちょっと艶っぽいお話です。

この話は、以前にも作品にしたことがあり、日記にアップしてあります。
よろしかったら、こちらにもどうぞ。
http://rusmina-2.cocolog-nifty.com/blog/2009/01/0049-b75f.html
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       ***** 「会おうか会うまいか」 *****
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 昨秋久方ぶりに京都を訪れた。
 目的はリニューアルされた京都鉄道博物館と、新しく出来た京都水族館。京都東急ホテルで三泊四日の、フリープランのツアーを使った。

 京都駅西方の梅小路公園にある鉄道博物館は、もともと蒸気機関車館としてテッちゃんには人気が高い。
増設された本館も充実していて、大宮や名古屋と共に鉄道博物館の代表と言える。
 同じ公園の一角に登場した水族館は、ちょっと地味な感じ。建物は立派で充分に広さもあり、内容も充実してはいるが、何となく華やかさが無い。

 2脚が痛いので、翌日は定期観光バスに乗った。定番コースだが、懐かしい京都の名所を、ガイド付きで巡るのも悪くない。
清水寺、嵐山、金閣寺など、何度も訪れているのだが。

 バスは市内の名所を巡って、午後の早い時間に京都駅前で終了した。この後、私には行きたいところがある。東山の南禅寺だ。
 そして会いたい人がいる。

 現役時代、長く大阪に単身赴任していた私は歴史が好きで、京都はしばしば訪れた。
 その折に知り合った彼女は、小柄で目のきれいな人だった。琴と日本舞踊のお師匠さんだという。
 普段はヘルメットとミニスカートで、ゼロハンバイクで京都市内を駆け回っている。

 その後二カ月に一度くらい会って、南禅寺あたりを歩いたが、お互い全く違う世界にいるせいか、話すとひどく新鮮に感じる。
平家物語の書き出しにある、沙羅双樹の花を教えてくれたのは彼女だった。
 友達以上恋人未満のお付き合いが、二年くらい続いた。

 珍しく彼女の方から誘いがあって、息子が現役で東大に合格したという。河原町で会って、まだ見ぬ息子に乾杯した。
あまりお酒の強くない彼女は、ポーッと頬を染めている。

 Photoある年の三月、私は東京に帰ることになった。
 会って南禅寺を歩いたが、おきゃんな彼女がいつになく口数が少ない。
豆腐好きだが、名物の湯豆腐にもあまり手を付けず、「寂しゅうなりやすな」とポツリと漏らす。
 湯豆腐に添えられた椿の花が美しかった。

 それ以来会っていないが、年賀状は毎年交換している。
 彼女の年賀状は達筆な手書きだったが、近年はパソコンになった。
 毎回一筆添え書きがある。

 最後の夜、ふらりと入った河原町の居酒屋「赤いひつじ」で、京都のおばんざいを肴に飲みながら、連絡しようかどうか、私はまだ迷っていた。
 居心地の良い店で酒が進む。
 この旅の始まる前から迷っていたが、結局連絡はしなかった。
 思い出は思い出のままの方が良い。
                                             (了)

 課題‐1 「出会いと別れ」 1080字 2017.03.17

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2017年3月19日 (日)

恋魚・・・第86作 まとうだい

11第11作で描きましたが、再度トライするのは、やっぱり恋魚だからでしょうか。
新旧対比でいつもの倍の手間をかけて、集大成にしたつもりですが、何か物足りません。

写真は制作途中と、ドイツの友人に送った英文記載の第11作です。旧作は稚拙ながら、とぼけた良い味をだしていると思っています。
彼のオフィスを飾っているでしょう。

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舞台の名脇役を思わせる風貌ですが、肉食でエビや小魚を、大きな口で丸863
呑みします。
フランス料理では高級食材だそうですか、味は非常に淡白で、刺身はそれほど美味とは申せません。
大きいものは50㎝位になるようです。

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完成品は例によってアルバムにアップしてあります。
よろしかったら、どうぞお立寄り下さい。
http://rusmina-2.cocolog-nifty.com/photos/pcsuisai/86.html

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2017年3月15日 (水)

エッセイ 「再会まとうだい」

86初期のころ描いた「まとうだい」ですが、もう一度描いてみたいと思っていました。
目下第86作として、取り掛かっています。
エッセイにも2002年の作品で、続編がありました。
写真はその折のものと、イメージから描いたラフスケッチ、それに完成した下書きです。
少し細部まで描き過ぎました。彩色が大変です。
まさしく ”恋魚” ですな。

    ***** 「再会まとうだい」 *****

 この夏、親孝行と称して宮城県の実家に車ごと女房を返していた私は、にわか独身を楽しみつつもお盆も休まず働いていた。
 いるとうるさいし、いないと不便なのが女房というもので8月末の金曜日、仕事を終えてから最終の新幹線に飛び乗って迎えに行った。

 帰路は磐越道をたどり、いわき市で一泊した。
 ここにある大型水族館「アクアマリンふくしま」は近年オープンして、ショーなどはないが内容が充実しているのが、私のような水族館マニアには嬉しい。
 世界最初に生きたサンマの展示に成功したことで、専門家は高い評価を与えている。
特殊な水槽技術を採用して、写真撮影が自由というのもありがたい。

Photo 「以前来たでしょ?」と言う女房殿を口説き落として、恋魚? に会いに入った。一年ぶりに再会する「まとうだい」である。
 深場の磯魚である彼女? は、この前と同じく独立した水槽に一匹でいた。
はにかんでいるのか、愛嬌のある顔を岩陰に隠してなかなか写真を撮らせてくれない。
 
 デジタルカメラは良く撮れるのだが、シャッターにタイムラグがあるため一瞬の動きを捉え
にくい。
それやこれやで小一時間も粘って、カメラの電池が切れるまで撮り続けた。写真を加工して、年賀状に使おう。
 水彩画をやってる女房殿は、どこかでスケッチでもしてるだろう。

 市街から外れた小高い丘の公園にあるホテルから、白亜の塩屋崎灯台が見える。861
「行ってみよう」となって、車を向けた。美空ひばりの最後の名曲「みだれ髪」に唄われ、観光客が絶えない。
 歌碑の前で今度は、ひばりファンの女房殿がフリーズしてしまった。

 あたりは海水浴場になっていて、海はきれいだが流石に太平洋で波が荒い。陽射しは強いのだが、灯台の上の白雲に秋色を感じる。
 木陰でスケッチしている女房を置いて、デジカメ片手に海岸をぶらぶら。
 バーベキューをしているアジア系らしい一団の、グラマーなビキニの美女たちに見とれていたら、いつのまに忍び寄ったのか女房に耳を引っ張られた。

 昼食によった小名浜市内の寿司屋では、珍しい地魚を出してくれた。
まんぼう、黒ソイ、めひかり、どんこ、のどぐろ、それにサンマ。どれも新鮮で美味しかったが、これらを全部知ってたら相当なお魚博士だろう。

 ゆく夏を惜しみ、海を楽しみ、お魚を堪能した南東北一泊の旅であった。
                                               (了)
    課題-3「ゆく夏」 (1000字) 2002.09.03 

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2017年3月 9日 (木)

痛ましい長野県防災ヘリの事故

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3月5日に起きた防災ヘリコプターの事故は、本当に痛ましいとしか言いようがありません。
亡くなられた方々のご冥福を、お祈り申し上げます。

警察や消防は自主運航ですが、防災ヘリやドクターヘリは民間会社に運航を委託することが多いようです。
長野県は自主運航でしたが、隣接する富山県は民間委託しています。(当然クルーは長野県職員となります)

事故機のベル412型は中型の双発タービンヘリで、防災だけでなく警察や民間などで広く使われている、息の長いヘリコプターです。
長野県機はその最新型でした。

412ja119l一般に飛行時間の短いヘリコプターで、累計飛行時間5200時間はヘリパイロットとして大ベテランと言えましょう。
副操縦席の整備士も、45歳で見張りや誘導、各種操作に熟練した、働き盛りと申せます。

原因解明は今後の調査を待つとして、報道やネットニュースなどからすると、狭隘な斜面の立ち木に接触したようです。
標高は1500~1800m位。
一般にタービンヘリは、気温や標高が高いとエンジン出力が低下します。
ベル412は出力の余裕が大きく、高所の山岳捜索や救助に適した機種と言えます。

ベテランのクルーが、それも本番救助ではなく訓練で、なぜそれほどギリギリまで木立に接近したのか。
現在までのニュースでは、当時の気象に問題や機体の不具合などは無いようです。

あくまでも推測ですが、山岳地の複雑な気流・風向と関係して、セットリング・ウィズパワー(プロはパワー・セットリングと呼びます)に遭遇し、
操縦困難に陥り立ち木に接触したのではないか。
パワー・セットリングは、地形や風向その他が複雑に融合してまれに偶発する、ヘリコプター特有の現象です。
10年位前の奈良防災の事故は、これだと言われています。

かなり時間はかかるでしょうが、最終的な事故報告書は国土交通省から発表されます。ネット上で公開され、誰でも見ることが出来ます。

写真は私のブログファンから頂いた、ベル412の同型機です。
操縦士も整備士も、ヘリコプターには国家試験資格に加えて型式限定があり、機種ごとに試験を受け直さなければなりません。
私もこの機種の資格を持っております。

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2017年3月 7日 (火)

日記のようなもの・・・下町ミニ散歩・錦糸町

Photo


3月3日はひな祭り。
NHK文化センターの歴史講座「戦国史最前線」は、今期織田信長編の最終回。
4月からは徳川家康編です。
その後フラリと錦糸町を訪れました。
文化センターのある青山一丁目からは、地下鉄1本で行けます。便利になりました。

その1 本能寺の変

戦国史最大の謎とされる本能寺の変。
明智光秀をして信長を討たせた要因は何か。
学会には諸説あるようですが、講師はそれぞれを解説しました。
話として面白いのは朝廷黒幕説。
朝廷がそそのかして、光秀を謀反に走らせたというのですが、歴史的には無理があるようです。
講師は「自分としては、光秀に天下への野望があったのではないか」というのですが。
それにしては、その後の光秀の行動は、あまりにも粗雑です・・・これは私の説?

その2 錦糸町

Photo_2
私の実家は東京亀戸にありました。
社会人になるまで過ごし、亀戸や錦糸町は縄張りでした。
ゆっくり歩いたのは、全く久方ぶりです。
駅前の映画館街(東京楽天地)は、子供のころは江東楽天地と言ってました。
JR錦糸町駅のガードの向こうに、スカイツリーが大きく見えます。
昔はここに貨物の引き込み線があって、SLが貨車の入れ替えをしていました。
この向こうには広大な錦糸公園があって、新聞社のヘリコプターが着陸したのが、私が見た最初です。
まさか一生の仕事になったとは。
当然のことながらすっかり変わって綺麗になった駅前ですが、大きな魚屋の魚寅は健在でした。Photo_3
ただ店内はガラスケースで、トレーに入った商品ばかりで、面白くありません。
横丁にあった大きな居酒屋「東亜の酒蔵」は、立ち食いそばになっていました。

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2017年3月 1日 (水)

エッセイ 「まとうだい」

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扁平でとぼけた顔のまとうだい。
これを描きたくてPC水彩画を始めたようなものです。
第11作で描きましたが、もう一度代表作にするつもりで取りかかっております。
下あごの白い球のようなものは、水族館の学芸員によると、ヘルペスのようなもので、普通はありません、とのことでした。
私は勝手に恋魚?にしております。

文章教室で発表した古いエッセイがありました。
優しくも厳しかった、故小松錬平先生(元朝日新聞論説委員・TV朝日ニュースキャスター)を思い出します。

     ***** 「まとうだい」 *****

 5出張先の港町で、ふらりと入った居酒屋のガラスケースに、見なれない魚を見かけた。
 柳かれい位の大きさで、青みがかった褐色の地に、目立たぬ程度の黒い縦縞が入っている。
ちなみに魚では頭から尾に走っているのが縦縞である。
 鮮度が良さそうな、澄んだ目がぎょろりと大きい。余り食欲のわく魚相ではない。

 「珍しいのがあるね、マトウダイかね」「お客さん、良くご存じですね。刺身でもいけますよ」
 フリの客に頑固そうな親父が、これでうちとけてきた。
 大きくなると50㎝近くになるそうだが、小ぶりなので塩焼きにしてもらった。
頭が大きいので、刺身にしたら食べるところがなくなってしまう。
 初めて食べたが、新鮮なせいか淡白な白身がホロリと取れる。しかしそれほど美味とはいいがたい。
お値段はけっこうしたようだ。

 子供の頃から海や魚が大好きで、自称お魚博士の私は、関東と関西の水族館は全部行っている。
大阪の海遊館のジンベエザメなどは顔見知りになるほどだ。
鳥羽水族館には6時間もいて、女房殿をあきれさせた。

 まとうだいも知ってはいたが、実物にお目にかかったのはこのときが最初だった。
フランス料理では好んで使われる食材で、なかなかの高級魚だそうである。

2 極端に偏平な魚体の中央に、白でふちどりした黒い鮮やかな斑点がある。弓矢の的に見立てて、的鯛とも書く。
 口が大きく上を向いており、はらびれは大きく尻尾はうちわのようだ。
 とくに背びれは大きく長く、毒を持った種類もいる。漁獲量は少なく、普通の魚屋ではまずお目にかかれない。

 泳いでいるまとうだいに、はからずもお目にかかったのは、
この夏福島県いわき市にオープンした巨大な海洋博物館、アクアマリン福島だった。
 世界で初めて、泳いでいるサンマが見られるのが売り物で、それはそれで楽しめたのだが、
思いがけずに発見したまとうだいの水槽に、私は張りつけられてしまった。

 何とまあ愛嬌のある顔をしているんだろう。
タイとはいうものの魚の王様、真鯛の美しさとは似ても似つかない。
 長い背びれを広げてゆったりと泳いでいる。黒いマトが鮮やかだ。
 上を向いた大きな口を開けてあくびまでして見せた。なんとなく舞台の名脇役を思わせる。
 比較的深い所(50-70m位)にいるので、飼育が難しいのだろう。独立した水槽に1匹だけだった。

 同行した家内に得意になって説明するのだが「あまり美味しいそうじゃないわね」でおしまい。
 亭主の学術的道楽?を理解しない女房は如何ともしがたい。                   
                                          (了)

 課題-3 「魚尽くし」  1080字  (2000.11.15)  
 上の写真はモデルになった、自分が撮影したもの。下はネットから借用した。

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