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2011年12月 2日 (金)

エッセイ 「文豪の愛した和菓子」

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葛餅という和菓子をご存知でしょうか。
先日娘がお土産に買ってきてくれました。私の好物です。
この葛餅を題材にした、以前のエッセイをご紹介しましょう。
しっとりとした下町情緒を感じて頂けますでしょうか。
写真は昭和30年代の亀戸天神社です。

 

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            「文豪の愛した和菓子」

 私の実家のある東京・亀戸も、マンションが増えてこぎれいになりましたが、天神様のあたりはまだ下町の風情が色濃く残っております。
 学問の神様、亀戸天神も最近は結構な賑わいを見せており、受験シーズンともなるとお母さん方の手を合わせる姿が目立ちます。001_2

 天神様のお社は、交通量の多い蔵前通りからホンの少し入ったところに大きな鳥居を構 えています。
 その入口近くに船橋屋という江戸時代から続いた有名な葛餅のお店があり、「宮本武蔵」や「新・平家物語」などで知られる文豪吉川英治がよく立寄っていました。
 「船橋屋の葛餅」として都内のデパートなどでも買えますが、ここが本店です。店内には吉川英治が贈ったらしい色紙なども見られ、庭に面した喫茶室はなかなか良い雰囲気です。

 葛餅というお菓子は、葛粉を練って型にいれ蒸し上げたものだそうですが、なま物ですので日持ちはしません。翌日でも食べられますが、味は別物といってよいほど変わります。
 やはり出来たてをお店で頂くのが最高でしょう。葛餅にかける黒蜜やきな粉にも、こだわりを持って吟味しているそうです。

 002 葛餅と京都の「葛きり」は、まことに好一対の和風デザートと申せましょう。葛きりのような華やかさはありませんが味は素朴で繊細、しっとりとした情緒を感じさせます。
 それゆえに創業以来百年以上も、葛餅一筋で続いてきたのでしょう。テラミスやナタデココのようなブームにはならないでしょうが、飽きられることはありますまい。

 この船橋屋から天神様のお社にかけては粋な黒塀の料亭や割烹が並び、キレイどころを見かける花柳街です。
 実家が商店であったこともあり、商売の手伝いで通用口からよくお出入りさせてもらいました。
夕暮れには打ち水と盛り塩がされ、灯篭に灯が入って情緒があります。近くに下駄屋が今でもあるのは、やはり土地柄でしょうか。

 それほど深い木立はないのですが、表通りからちょっと入っただけでうそのように静かに感じられます。
 この天神様のもう一つの名物は藤の花でしょう。梅雨の少し前ごろ藤棚から下がる、ぽってりと重たげな薄紫の藤の花は池の水に映えて、とくに夜は桜とはまた違った華やかさです。
 
 時代小説の大作を数多く残した文豪吉川英治は、この亀戸天神を散策して次の作品の構想を練っていたのでしょうか。

                       (了)

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コメント

JA222さん
いつもご覧下さり、コメントを有難うございます。

この記事には関係ありませんが、一昨日(12/02)都内でこの出版社の主宰する、ヘリコプター屋の講演会・忘年会がありました。
旧知にも沢山会いましたが、現役時代の後輩たちも偉くなってしまって・・・。
幾人もの方々から、この雑誌の記事が面白いと、お褒めを頂戴しました。
JA222さんも仰って下さる臨場感が、生き生きとした「読み物」たるゆえんでしょうか。
次回は第3回の完結編です。
お気づきかもしれませんが、この「ベル47型ヘリコプターの操縦」は、もともとこのブログの記事です。
雑誌記事からブログには良く載せますが、ブログ記事から雑誌へは初めてです。
http://rusmina-2.cocolog-nifty.com/blog/2011/04/47-1-7cef.html

私は現役時代初めて経験したFADEC装備機は、ユーロコプターAS-355Nでした。
エンジン始動を始め、あまりにも操作が簡単でバカにされている感じがしたものです。

投稿: 帆走子 | 2011年12月 4日 (日) 10時17分

HJ誌9.10月合併号が届きました。そして、読ませていただきましたヘリコプターエッセイ(33)「ベル47型ヘリコプターの操縦」②。いつもながらヘリ・マニアにとってはワクワクする様な臨場感があってイイですね。その昔、我が家の周りを飛び回った薬散ヘリも夜明けと共にこうした「儀式」を経て飛んできたのですね。昨今のFADEC装備のタービン・ヘリではこうした複雑な手順は不要なのでしょうか。次回が楽しみです。 by JA222。

投稿: JA222 | 2011年12月 3日 (土) 23時10分

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