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2008年10月13日 (月)

0032 プーケット島のパトンビーチ

プーケットのパトンビーチを題材にしたエッセイがありました。
東南アジアを襲った大津波の少し前に訪れたものです。

 ホテルはビーチからすぐで、部屋は4階建ての3階、そのすぐ後に例の大津波で、3階あたりまで波が洗っている様子がTVニュースに出ていました。パトンビーチはプーケットで一番にぎやかな海岸ですが、空港から遠い(車で1時間強)のが難点です。
写真のYS-11は、埼玉県所沢市の航空公園駅前に展示されているものです。

     「パトンビーチ」(1)

 プーケット国際空港は雨上がりだった。
雲の切れ間から、南国の強烈な日ざしがまぶしい。成田から7時間半、直行便のお陰で現地時間の午後3時半である。
 ここで思いがけなく旧知に出会い、到着早々嬉しくなってしまった。なんと老嬢YYs11S-11が居る。タイ南部に路線を持つプーケット・エアーというローカル・エアラインの機体らしい。スポットで荷物の取卸しをしているから、まだ現役で活躍しているのだろう。
 日本製のこのターボプロップ旅客機は、デビュー以来40年、ただでさえ技術革新の激しい航空界で、良くぞ生き残ってきたものである。私の乗ってきたボーイング777の隣で、彼女は小さく可憐に見えた。
Ys116 「頑張れよ!」窓越しに、思わず声をかけたくなった。

 アンダマン海の真珠と呼ばれるタイ南部のリゾート地、プーケット島は日本の淡路島くらいの南北に長い島で、今は雨季。西岸にある各ビーチは風が強く波が荒い。
いわゆるオフシーズンで、ホテルもレストランも大幅にディスカウントする。中心にある代表的なパトンビーチも例外ではない。
 オフシーズンとはいうものの夜ともなれば、メインストリートである海岸通りはごった返す。ヨーロッパ系の白人と、台湾らしい中国人が多い。ギリシャ彫刻がタンクトップを着たような美女を見かけたりする。繁華街バングラ通りの喧騒と猥雑さは、いささか刺激が強すぎて、なんとも落ち着かない。パトン以外のビーチは、もう少し静からしいが。
 
 バリ島のクタビーチも似たようなものだが、バリはヒンズー教の神々が棲む島とかで、まだおごそかな雰囲気がある。プーケットも仏教国タイなのだが、宗教色はまるでない。
 しかし、物価の安いのはありがたい。街で買うと、シンハビールのレギュラー缶が30バーツ(90円)で、税込み表示は日本と同じ。ホテルの部屋にあるミニバーでも40バーツ、日本の温泉旅館などは、少し見習って欲しいものだ。

 プーケットで出来ないマリンスポーツはない、といわれる。でも海を売り物にしているにしては、街にあまり潮っ気が感じられない。期待していたレンタルのカタマラン(双胴の小型ヨット)は、客が少なくて商売にならないとかで、乗れなかった。パラセーリングも試してみたが、見た目には派手でも、自分ではなにも操縦らしい事はしないのでつまらない。

エッセイの後半です。
お魚のウンチクは、自称お魚博士(ただの水族館キチガイ)の道楽で、どうぞご容赦のほどを。
やがらは青と赤があり、アカヤガラのほうが旨い、とされています。

         「パトンビーチ」(2)

 ロブスターを始めとするシーフードも確かに安くて旨いが、レストランの装飾に、アメリカのフロリダやサンフランシスコの、茶目っ気たっぷりな洗練された演出は望めない。サンフランシスコのレストランで、駐車場入り口のバーが、カニのはさみのデザインだった。
 セーラーズ・バーというのを見つけて入ってみたが、壁に舵輪が飾ってあるだけで、何の変哲もなく、良きカモと見られたのか女の子たちにワッと囲まれた。
タイ語は出来ないので、片言の日本語と英語だが、英語の出来る子はいない。
 ナイトクラブでニューハーフのショーなども、確かに美しいが今ひとつ垢抜けない。隣り合ってビールを飲んでいるうちに、うちとけて雑談できるのは、やはり気さくなアメリカ人だ。

 プーケット島南端のチャロン港からは、周辺の島々へツアーボートが出る。スピードボートで20分ほどのコーラル島に出かけてみた。ホテルがあるだけのサンゴ礁の小島で、遊び道具は一通りそろっている。海は静かできれい、ダイビングの好ポイントだそうだ。
 マスクとスノーケルをつけて、近くの岩場に潜った。フイン(足ひれ)はサンゴを傷つけるから、ご遠慮願いたいとのこと。自然を守るのは良い事だが、ライフジャケット付ではダイビングにならない。しかし、サンゴの岩場は覗いているだけでも楽しい。
 カゴカキダイの群れがいる。水族館でおなじみのナメモンガラも、上から見下ろすと違った感じに見える。
派手な黄色と黒の縦じまでやや大きい奴は、阪神タイガースのファンかもしれない。

 ここで貴重な魚を見つけた。
なんと目の前の海底にヤガラのペアがいる。日本ではめったにお目にかかれない、超高級魚だ。それも最高に美味といわれる赤ヤガラだった。うなぎの頭をうんと長くして口を筒状にし、尻尾を糸のように長くすると似た感じか。全長1m位。
 日本では伊豆半島以南の浅い岩礁に住み、成長すると2mに達する。漁獲量は少なく、高級料亭へ直行で普通の魚屋ではまず見られない。刺身や椀だねにするが、夏が旨い。
 私もお刺身で一度食べた事があるだけだ。
白身でねっとりとした、かなり濃厚な味であったと思う。水族館にもまれにいるくらいで、ヤガラを知っている人は相当なお魚通である。

 こんな貴重品が、ホテル前の岩場で見られるなんて。捕まえて寿司屋に売ってやろうと思ったが、あっさり逃げられた。興奮した私は、岩と思ってつかまったのがサンゴで、左手をケガした。グローブは持参していたのだが、付けていなかった。
 やはり横着と欲を出してはイケナイ。フロントのお嬢さんが傷に赤チンを塗って、ゴツイばんそうこうを貼ってくれた。
 ちなみに、プーケットでは水中銃はもちろん、モリ、ヤスなどで魚貝類を捕獲する事は、プロの漁師を除いて一切禁止されている。A

 街全体で、真珠といわれる美しい自然を守ろうという姿勢が嬉しい。アメリカやヨーロッパのような、完成されたリゾート地ではないけれど、発展するアジアのパワーを肌で感じる良い旅であった。
                                           (旅行期間 2004.06.12~17)            (了) 
自由課題 2200字  (2004.07.04)

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